手塚さんのととのえるの定義

川崎の建築家、荒木です。

私たちがやっているフェイスブックの「ととのえる」ページに、突然、師匠の手塚さんが投稿してくれました。

読めば読むほど、各所にさまざまな比喩が込められていて、非常に興味深いです。

建築家という職能のこと、建築で大事なこと、現在の建築業界のこと。。。

 

私たちへのエールだと勝手に思い込み、ありがたく頂きました。

以下全文転写いたします。

 

「ととのえるという言葉は、ヒノキカウンターの向こうの寿司屋のオヤジさんがつぶやく言葉だなぁ。ととのえるというのは片付けるということでもない。片付いてちゃつまんね〜。もっとハートで語るもんだぜ。「あるべきものがあるべきところにちゃんと鎮座している」という設え(しつらえ)をいうのだと思うぜ。その点!良くできた一握りの寿司はその極みだと思う。すし飯はちょうど良い量でなきゃいけない。そのちょうど良いというのは、カウンター越し期待に爛々と目を光らせているお客さんの口の大きさを測って決めるもので、全部一つ一つ違う。それに載せるネタは大きければいいってもんじゃない。近頃はネタのデカさを売り物にする回転寿司なるものがあるが、ありゃあ寿司じゃないね。なぁそうだろう?寿司ってのは寒風吹き荒ぶ巷から暖簾をくぐって来たお客さんを、一人一人暖かく出迎えるためにあるんであって、空港の手荷物引き取り所みたいにポンと放ってグルグル回しとくなんてイカンヨ。ごめんね、回転寿司の人達。俺は口がワリインダ。いろんなもの順序良くととのえると、自然とお天道様が味方してくれてよ、いつの間にかスルスルっと客の口の中に寿司ってのは吸い込まれてさ。そして客の目尻が下がるんでさ。そいでもって、「大将美味かったよ、またなー。」その時の気分てのは答えらんねー。だから寿司屋(建築家)ってのはやめらんねーんだよ。あはっはっはー。 手塚寿司研究所」