「アウト・オブ・ダウト展」 

 

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いわゆる建築の話ではないけれど、今六本木の森美術館で開催されているアウト・オブ・ダウト展について、感じたことを一つ。自分の頭に定着させておくために。。。この展覧会は1970年代から80年代に生まれたアーティストを中心に、「現代のいろんなことに疑念(ダウト)を抱いてその疑念から生まれる何か」を表現している展覧会です。

今何を思い、なにを考えて生きていくのか。

同世代の人間として、それらの表現にどのように共感できるか。単純にそういう興味でした。たくさんのアーティストの中で、私は、漫画「キン肉マン」をモチーフに社会風刺版画をつくっている、風間サチコさんという方にとりわけ興味をもちました。一見強烈で、とってもどよんっとした雰囲気の版画です。風間さんは、現代のいわゆる「社会秩序」ってものに疑念を抱いています。現代の監視社会や管理社会のようなものを痛烈に批判しています。

「今の社会では、みんな他人に指摘されることを恐れて、自分の発言を極力避けるようになっている。このような統制を、国家ではなく国民同士で築いてしまっている。戦前は統制や弾圧が強まり、思想家が逮捕され自由がどんどんなくなっていった。あの時代の流れと、今の市民レベルで互いに統制しあい、言論の自由がなくなっていく状態が私のなかでリンクしていく、、、、。」

と言っていました。この発言、個人的に非常にリアルに感じました。今私たちは、自分たちで自分たちを統制してしまっている。いつもまとわりついてくる、どよんっとした混沌の雰囲気。私は戦前は経験していませんが、戦前の言論の自由が無い感覚と、現代管理社会における間接的に言論の自由が無い感覚をリンクさせている点に、はっ、としました。現代の問題の根深さに。。。

風間さんという方は、決してあっけらかんとしていません。深く考えずに明るくいこー、って感じでもありません。「混沌が表層化された社会を、ありのままに映し出す」。。。その実直な雰囲気に、私は妙に共感したのだと思います。

まあ、普段の私は、深く考えず明るくいこー、なんですが。笑