「もう先月の話だけど」 

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こんにちは。

川崎の建築家、荒木成文です。

今日は気持ちの良い秋晴れ。

もう先月の話だけど、手塚事務所で最後に担当させてもらった住宅が、住宅特集という建築雑誌(9月号)に載ったとのこと。

ボートの家」というやつです。また手塚事務所ネタです。笑

早く荒木事務所ネタでこの日記を埋め尽くしたいですが、焦らずガンバロー。

ということで、この住宅作品。実際手を動かして図面を書いたのは後輩のKくん。

私は先輩という形で関わっていました。

現場中はいろいろ大変なことがありましたが、こうやって一つの成果物に持っていけたのは彼の粘りづよさのおかげ。

でも家は生き物なので、これからのメンテナンスが大事。がんばってね。

ってことで、この建築にまつわるいろんなこと、施主との関係、上司と部下との関係などを思い出し、また前に進もうと思った次第です。。。

 

「オープンハウス」 

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こんにちは。

川崎の建築家、荒木成文です。

今日は、手塚建築研究所のオープンハウスに行ってきました。

手塚さんの代表作「ふじようちえん」の増築です。

この建築は、一階が厨房、上の階が教室になってました。

ぐるぐる上って、階段上って、屋上まで行ける楽しい構成。

そして屋上には楽しそうな水場と大きな木!が、どかんっと。

軒下には、たまねぎとかトマトとか、ぶらぶら~。

なんて楽しんでしょ。

うちの子供たちも奇声をあげて、ぐるぐる廻りまくってました。

手塚さんの作品には、すげーかっこいいやつとかいろいろありますが、僕はこういう雰囲気が楽しいやつが一番好きです。こういうのって出来そうで出来ない。

設計者とお施主さんの楽しさへの考え方がモロに出るし、それをお互い尊重しながら、緩めるところは緩めて、もちろんいろいろな社会的な壁や、技術的な厳しい難題を乗り越えて、それをお互い出し切る。これは並大抵のことではないです。

(担当スタッフの努力も勿論ありますね。ご苦労様です。)

ところで、その後、オープンハウスにいらしていた河口湖の「田んぼのなかのドミノハウス」のM岡さんに、家族でお昼をご馳走になってしまいした。

ドミノハウスは、私が手塚事務所で担当させて頂いた物件で、実は、先月末にも河口湖にお邪魔して、一泊しているのです。

いつもM岡さんには家族共々良くしていただき、今回もダンボール一杯の自家栽培野菜も頂きました。

本当に大切な人間関係とは、こういうことだし、少なくても良いのだろうし、だからこそ大切にしていきたい。

今日はホントそう思いました。

 

「実施設計中」 

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こんにちは。

川崎の建築家、荒木成文です。

やばい。だいぶ日記の更新が滞ってしまった。

現在、MハウスとNプロジェクトの実施図面を必死に書いてます。

後、足かけのプロジェクトがいくつか。。。

ということで、あっという間に夏が過ぎました。

あんなことこんなこと思い出沢山ですが、

本格的な秋を感じつつ、仕事に子育てに励みます。

 

「解体進行中」 

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こんにちは。

川崎の建築家、荒木成文です。

Nプロジェクトの解体が進んでいます。

残るは基礎だけになりました。

基礎のコンクリートは、普段目にすることが出来ない部分なので、興味深く見てしまいます。

当時作られた時を想像して。。。昔はこんなにコンクリートの幅が細かったんだーとか。。。

また、今まで見えなかった敷地の輪郭があらわになり、わくわくしました。

解体業者様、この暑いのにご苦労さまです。

 

「8月中に熟読しようっと」 

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こんにちは。

川崎の建築家、荒木成文です。

朝晩はとても涼しく、過ごしやすくなってきましたねー。

ところで、建築には関係ないですが、今読んでいる本を紹介します。

本は結構手に取ることが多いですが、基本乱読です。

ただ、あ、これはと思うと熟読します。

(新しいものはamazon購入、古いものは図書館のネット予約を使って。)

今月はこの三冊を熟読しています。

それぞれ、政治の本、科学の本、ビジネスの本。

いつも、こんな感じで、バランス良く読みたくなります。

きっかけはだいたい、新聞の広告、SNS、著名人のホームページなどからですね。

建築に限らず、どんどんと世界を押し広げるべく。。。ですね。

 

『永続敗戦論-戦後日本の核心』 白井聡

『データの見えざる手-ウェアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』 矢野和男

『メイカーズ-21世紀の産業革命が始まる』 クリス・アンダーソン

 

「建築士の定期講習」 

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こんにちは。川崎の建築家、荒木成文です。

今年のお盆は、暑かったり、涼しかったり不安定な天気の川崎です。

ところで、先日一級建築士の定期講習に行って来ました。

実は、一級建築士という資格は、永久的になにもしなくても良いものではありません。

正確には、何もしなくて良い時代が終わり、定期的に講習を受ける必要がでてきてしまいました。

いわゆるあの構造偽装事件以降です。

法改正で、一級建築士事務所に所属する建築士の義務になりました。

3年に一回、一日中講義室に缶詰になって、一方的な講義を受けるのです。

普段そんなことしていないから、結構疲れるんだな、これが。

目的は、「新しい建築技術や、新しく改正された建築基準法令に対して、その知識を更新し、業務の適正な実施を担保する」、ということ。

8年前の構造偽装事件の余波をもろに受けながら、いろいろ疑問に思いつつも、日々の設計業務に生かすべく、ポジティブに受けた定期講習でした。

また、3年後か。。。

 

「仕上げイメージ検討中」 

 

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川崎のNプロジェクトの内装イメージを検討しています。

Nプロジェクトは木造建築。

天井や壁は、木造らしくしたい。

普通に、素直に。

いろんな法的な規制(火事対策)はあるけど、できるだけ木を自然に見せたい。

だって、高齢者の終の棲家だから、最後の家となるはずだから。

ただ全部木ってものべたべたした感じ。

どんなバランスが良いか。

ラフな模型をつくって、いろいろ検討中です。

 

「お金かけずに知恵かけて」 

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最近よくあるこういう雰囲気の飲み屋。

川崎の実家近く(溝の口)にもありました。

即興的な店作り(に見せる)のがうまいなー。

入りたくなる外観です。一杯やって行きたくなります。笑

まさに、「お金かけずに、知恵かけて」。。。

この店構えは簡単にデザイン出来そうで、実はけっこう考えていますよね。

構成部材の寸法も最小限で軽い感じ。ホームセンターで買って作れそうな雰囲気。

いいな、って思います。

こういうのって、いわゆる建築家って人が考えているのかな?

私自身、普段仕事で考えている建築は、30年、50年、100年を考えています。

躯体から考えるのであたりまえっちゃあたりまえです。

でもだからこそ、これがただ外観だからだとしても、こういう即興的な明日無くなってしまうような感じに、はっ、としてしまうのかも。

 

「解体で初めて分かること」 

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Nプロジェクトの解体現場が進んでいます。

解体がまだ行われていない別棟にちょこっと入らせてもらいました。

いままでは、入居者が居たので、入れませんでした。

想像はしていましたが、そこにはナイスな景色が広がっていました。

とりわけ、2階から見た外の景色は、木の海みたいですっ!

そう、すぐ隣が果樹園なのです。

これを眺められる空間が出来るのを想像すると、楽しみになりました。

ココに入居される高齢者の方たちは、この景色をぼーっと眺めることも出来ます。

いいなー。

ところで、建築家が解体現場に立ち会う必要があるか。

荒木は、立ち会えるときは一度は立ち会います。

まず、新しい建物が最終的に出来上がった場面を、その場でイメージします。

そして、例えば既存のフェンスを残すか残さないか、そもそもそれが使えるか使えないかなどを判断して、解体屋さんに伝えます。

使えないなら、解体屋さんに一緒に壊して持っていってもらったほうが、後で本体工事中にやってもらうよりはるかに安い。

ちなみに、このように立ち会うことで、我々が、解体仲介料などをもらっているわけではありません。(あくまで我々は、の話です。)

ただただ、中立の立場で、クライアントの利益になるように動くのが我々建築家の仕事です。

プロとしての、ちょっとしたきめ細やかな対応、って思ってます。

 

「最近はまっている場所」 

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ところで、最近はまっている場所があります。

東京府中競馬場。

馬券は買っていません。

今年は、5月からほぼ毎週末、家族で行っています。

川崎の自宅からの距離が適度なこと。子供を安全に遊ばせることができること(水遊び、馬車乗り、沢山の巨大遊具、様々なショーなど)。

入場料が200円と安いこと。掃除が行き届いていて、きれいなこと。勝負事の興奮が身近に味わえること。

などなど沢山の理由があります。

ただ、それだけの理由であれば、毎週は行かないかもしれない。でもなぜか行きたくなる。

それは間違いなく、この空間がとても気持ちが良く、好きだからだと思います。

とにかくスタンドはまっーーーーーすぐ。

どこにいてもビューが確保されていて、どこにいても気持ちが良い。

手前の広場は、少し勾配が付いているので、観戦しやすく、座りやすくて、落ち着く。

競馬場という機能からくるシンプルな構成の建築です。

そしてまっすぐだから、大きい施設だけど、絶対迷子にならない。

どこにいても簡単に自分の居場所が見つかる。

 

建築家荒木として、理想とする建築空間かもしれません。

(まあでも、通い続ける一番の理由は、なにより妻が、この場所をめっちゃ気に入ってるからかもなー。笑)

 

「解体開始」 

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本日「Nプロジェクト」の解体が開始しました。

解体が終わってきれいな土地になるためには2から3週間かかります。

500平米くらいの既存建物なので、やはりそのくらいかかってしまいます。

解体をした後も直ぐに着工ではなく、設計が続きますが、はじまった感じがしてうれしいです。

Nプロジェクトは、地域の高齢者のかたのための建築です。

場所は神奈川県某所。神奈川県在住の建築家として、地域に貢献できるように頑張りますっ。

 

「水周りショールーム見学@表参道」  

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先日、「Mハウス」の水周りのイメージを確認しに、クライアントさんとショールームに行って来ました。

場所は表参道。サンワカンパニーという会社のショールームです。

実は私も今回初めて行きました。手塚建築研究所時代の先輩から教えてもらったのです。

サンワカンパニーさんは、デザインがとてもシンプルで無駄が無い感じ。

そして何より、その質に対して価格が低く抑えられているのが素敵です。

またキッチンは、他社の水栓や、食器洗浄機なども組み込まれた展示になっているので、具体的で分かりやすい。

種類もとっても豊富。

また、床材などの素材も扱っている会社なので、それも展示してあります。

 

つまり、水周りやその周辺の収納、床材、そしてその値段など、一番クライアントさんが気になるところが、一挙に体感・共有!できます。

アラキアーキテクツでは、ここにクライアントさんと行くことを必須項目にしようかな。笑

おすすめです。

 

あ、ちなみに、幼児のためのプレイルームもあります。これ、凄く重要で、今回も大活躍でした。

私自身、幼児二人の父親なので、そのありがたみがよーく分かります。笑

 

「先輩のこと」 

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ってことで、またやってしまいましたーーーーー。余興ソング!!!!!

 

昨日、手塚建築研究所時代の先輩の結婚式でした。

Niji Architectsを主宰する原田さん。代官山にオフィスを構えていらっしゃいます。

最近は大学で講演会をやったり、建築メディアにも沢山紹介されている新進の建築家です。

プライベートも含めて、いまでも大変お世話になっている先輩です。

一緒に建築設計コンペに参加したり、鍋をやったり、大酒飲んだり。。。

曲名は、原田さんの事務所名にちなんだ、「虹 I LOVE YOU」。笑

 

ところで、式の最中にずっと思っていたことが二つあります。

 

一つ目はもちろん原田さんのこと。

原田さんからは、一緒に仕事をさせてもらいながら、ものづくりの意識の高さ、しぶとさを学びました。

あまりにしぶとすぎて、ぶつかったこともありました。だって、所長の手塚さんよりも、意識が高いと感じたこともよくありましたから。

ただプライベートではひたすら優しく、とても聞き上手でした。私のアヤシイ話を、うん、うんと、沢山聞いてもらいました。

その原田さんが公私のパートナーを伴って、これから家族を作っていく。。。

とても感慨深い気持ちでいっぱいになりました。

 

二つ目は手塚事務所のこと。

私のこの衣装は全て手塚事務所の今のスタッフが夜な夜な作ってくれました。

私は何もやっていません。

帽子もネクタイもすべて彼らの手作りです。

この写真にはない、20本以上のネクタイ、スカーフ、帽子、そして100部以上の歌詞カードもすべて手作りです。

前日夜には、設計事務所なのに、ミシンの音が鳴り響いていました。笑

やっぱおかしいわ。。。手塚事務所。

手塚事務所は、日本一変な設計事務所だけど、日本一最高!な設計事務所です。

 

原田さん、手塚事務所のみなさま、これからも何卒よろしくおねがいいたしますっ。

 

「建具屋さん見学@山形」 

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昨日、山形に建具屋さんの見学に行って来ましたー。

現在計画中の「Nプロジェクト」の木製建具の検討のためです。

共同設計の方たちに便乗して、一泊の山形研修旅行って感じでしたー。

この建具屋さんの凄いところは、高気密高断熱の新しい木製建具を開発したところ。

その実物を確認しに行って来ました。

普通の引戸の建具は左右に引いて開閉するかたちですので、建具同士の気密はどうしても悪くなりがちです。

気密だけでなく、隙間から小さい虫がはいってくることもあります。

なんと、この新しい建具は、閉じるときに前後にも動いて、引き寄せて閉まるのです!!!

なので建具同士がぴったりくっついて気密がとっても高いのです。

まるで新幹線の扉のように、最後前後に動いてぴたっとなるのです。

しかも、大きい建具でも動かす感覚が軽い!

建具は外部と内部とを繋ぐアイテムですので、設計者にとって、その部分の繊細なコントロールは、もっとも基本的な仕事です。

私自信は、地域や用途、予算によって、すべてがすべて高気密にする必要はないと考えています。

ただ適材適所でこういう高性能な建具を使って行きたいなと思っています。大事な選択肢の一つになります。

日々、勉強、勉強、勉強!

 

「Mハウスの検討」 

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Mハウスの打ち合わせを重ねています。

先週末も打ち合わせして来ました。

基本プランがだいたい固まってきました。

4世帯(付属機能も加えると5世帯!)が、一つの大きな敷地にムチムチっと集まります。

来年の竣工に向けて、急ピッチで打ち合わせを重ねていますっ。

 

「社会人としての楽しさの原点」 

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先日、前職手塚事務所に結婚式の余興の練習に行きました。

先輩(OB)が結婚するのです。

昔から手塚事務所では、所員の誰かが結婚すると、オリジナルソングをプレゼントしています。

替え歌じゃありません。曲も歌詞も衣装も、ぜんぶオリジナル!です。

二ヶ月以上かけて一から作るんです。

もうかれこれ、ミニアルバム出せるくらい作っています。笑

そりゃ、みんな仕事があるので、役割を決めて、仕事が終えて出来る人から製作にいそしみました。

なお当日の余興は、所員全員強制参加でした。

もう、卒業している僕が、まだ参加する理由はただ一つ。

楽しいからです!!!こういうくだらないことを真剣にやるのが愉快!だからです。

手塚事務所は仕事も遊びもいつも真剣でした。

みんなで真剣に遊ぶことで、各々仕事の重圧をうまくコントロールできていたのだと思います。

みんなで仕事のように遊ぶことで、所員の仲が円滑になって、仕事でも自然に助け合えるようになっていたのです。

こういう風習がなかったら、ぼくもアトリエ事務所という独特の雰囲気の中で、10年近くも勤められなかったと確信しています。

こういうくだらないことこそ、みんなで真剣にやる!その楽しさ!

だれがなんと言おうと、これこそ、私の社会人としての楽しさの原点です。

自分の事務所でも、忘れずに行きたいと思っています。

 

「オープニングパーティ」 

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昨日は大学の恩師からご招待を頂き、ある展示のオープニングパーティに参加させて頂きました。

オカムラデザインスペースR 第12回企画展

毎年、建築家とアーティストでコラボレーションをした展示が行われています。

恩師の川向先生が企画実行委員長をされています。

今年は、建築家古谷誠章さんと慈照寺花方の佐野玉緒さんとのコラボレーションでした。

こういうコラボレーションは他では見られないと思います。毎年刺激的な空間です。

また今年は、手塚事務所時代に一番お世話になった先輩にお会いすることも出来て、みっちり話もさせて頂きました。

その先輩がたくさんの知り合いのかたを紹介してくれました。

正直、こういうパーティに参加するのは、いつもちょっと気恥ずかしいです。

でもいつもなんらかのかたちで、自分の世界を押し広げることが出来ます。

というか誰かが押し広げるのを手助けしてくれます。。。

ありがとうございます。。。

ところで、展示は7月25日まで開催です。みなさま是非!

暑い夏に、さわやかなひと時を味わうことが出来ますっ。

 

「Mハウス進化中」 

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Mハウスを再び考えています。
与えられた条件を整理して、沢山検討しています。現在進化中。
基本設計の再検討です。
これはその模型たちの一部が縦に積まれたもの。
全体に意味はありません。高層建築ではありません。笑

ちなみに、このように無造作に積まれた模型に、はっとすることがあります。
なんか意味をもたない物の集まりへのあこがれ?
なので記録用にパチリ。

ところでMハウスは大きい4(!)世帯住居。
どうやって集まって住むか。。。
10年後20年後はどうなっているか。。。
関係者が多い分、どうしても設計には時間がかかります。
でも、それをどうやったら楽しくできるか、いろいろ思案中です。

 

「10年前の社会学の本」 

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ちょっと気になって、10年以上前の本を読みました。今更ながらとても感銘を受けました。
東浩紀氏の「動物化するポストモダン」。

社会学の本であり、建築に直接関係するものではないです。単なる私の趣味です。
内容はといえば、「オタク系文化から当時の日本社会の状況を論じているもの」、です。

10年以上前だから、私は大学生のころ。
大学院時代に「ポストモダン時代の建築」に関係する研究をしていましたが、この本は恥ずかしながら、目を通すことがありませんでした。

自分が単に、オタク文化をリアルに感じなかっただけかもしれません。
オタクってだけで、そのイメージがまだまだ歪曲化されていた時だったとも思います。

それが今読むと本当に興味深い!
当時の自分の鈍感さを反省するほどでした。

全編に渡り、「動物的」「データベース的」などのキーワードが、的確に繰り出され、深いことが分かりやすく書かれています。
しかし単純に、私が今さならながら腑に落ちて、ずっと頭に残っている内容はこれです。

 

『今の時代は、いろんな物事に対して「大きな共感」が存在しない世界であって、オタク的な「小さい共感」への感心しかない。』

 

これはモダン社会からポストモダン社会の移行の基本的な構図と思います。
しかし、オタクから始まるインターネット、そしてSNSなどに至る現在のコミュニケーションの様々な様相をみると、10年経っていよいよリアルに感じたのです。

そう。
私たちは、大きな共感がない世界の中で、小さい共感を求めて、その感覚を研ぎ澄ます。。。
そして、その小さい共感の集まりを丁寧につないだり、バランス良く距離をとったりしていく。。。

私たちは、今、そんな世界を生きているのでしょうか。
なーんて、抽象的な話ですが、まあ、いろいろ考えるのが好きです。

 

「クライアントとの関係」 

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この写真は、手塚建築研究所時代に担当させて頂いた山梨県の住宅です。

ここでは、竣工後も毎年夏に、手塚+お施主さんの企画で、壮大な宴会をやらせてもらっています。
OBとしていまだ私も参加してます。この写真はそのときの様子です。

実は、そのお施主さんから久しぶりに電話を頂き、
「東京に出る予定がある。久しぶりに会いたいからご飯を一緒に食べよう。」と!
このお誘い、本当にうれしかった。。。

当然、この人間関係は、手塚事務所の手塚さん夫妻が前提だし、今のスタッフの頑張りも前提です。
でも、自分の大事な部分でもある。

私は、「建築を作ること」は「人間関係を作ること」だ、と確信しています。

正直、建築家のある側面として、物としての建築の完成度にこだわりをもち、そうして作られた空間には心躍らせる力があります。

しかし、建築の本当の力、または凄さみたいなものは、こういった深遠かつ永続的な人間関係の構築であると、このお施主さんから無言で教わったと思っています。

そしてありがたいことに。
今もなお、教わり続けています。