「10年前の社会学の本」 

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ちょっと気になって、10年以上前の本を読みました。今更ながらとても感銘を受けました。
東浩紀氏の「動物化するポストモダン」。

社会学の本であり、建築に直接関係するものではないです。単なる私の趣味です。
内容はといえば、「オタク系文化から当時の日本社会の状況を論じているもの」、です。

10年以上前だから、私は大学生のころ。
大学院時代に「ポストモダン時代の建築」に関係する研究をしていましたが、この本は恥ずかしながら、目を通すことがありませんでした。

自分が単に、オタク文化をリアルに感じなかっただけかもしれません。
オタクってだけで、そのイメージがまだまだ歪曲化されていた時だったとも思います。

それが今読むと本当に興味深い!
当時の自分の鈍感さを反省するほどでした。

全編に渡り、「動物的」「データベース的」などのキーワードが、的確に繰り出され、深いことが分かりやすく書かれています。
しかし単純に、私が今さならながら腑に落ちて、ずっと頭に残っている内容はこれです。

 

『今の時代は、いろんな物事に対して「大きな共感」が存在しない世界であって、オタク的な「小さい共感」への感心しかない。』

 

これはモダン社会からポストモダン社会の移行の基本的な構図と思います。
しかし、オタクから始まるインターネット、そしてSNSなどに至る現在のコミュニケーションの様々な様相をみると、10年経っていよいよリアルに感じたのです。

そう。
私たちは、大きな共感がない世界の中で、小さい共感を求めて、その感覚を研ぎ澄ます。。。
そして、その小さい共感の集まりを丁寧につないだり、バランス良く距離をとったりしていく。。。

私たちは、今、そんな世界を生きているのでしょうか。
なーんて、抽象的な話ですが、まあ、いろいろ考えるのが好きです。